a) 腰を横に動かす。その間、
b) 頭を後方に保ち続け、
c) クラブを動かそうという努力は一切しない。
a) 腰を左へ廻すのではなく、《ダウンスウィングの開始で腰を水平移動させる》ということは、いくら強調しても、し足りないほどだ。
スウィングのトップで腰が左に水平移動すれば、腰は右足に掛かっていた体重を左へ移動させることになる。
これが腰の水平移動をすべき第一の理由である。@
第二の理由。われわれの身体はトップで捻転し、固く巻かれているわけだから、腰のどんな回転運動も肩を道連れに回転させてしまう。
その結果、右肩をボールに向かって高い位置からターゲット方向へと回転させるので、クラブを振り下ろすとアウトサイド・インの軌道になってしまう。
腰は水平移動しても回転するが、単に回転だけさせようとすると水平に動くことはしない。
これはあなた自身が証明出来ることだ。
立って、出来るだけ遠くまで腰を動かしてみてください。
限界に近づくと腰は勝手に回転を始め、誰にもそれを止めることは出来ない。@
スウィングのトップで腰は右へ(多分45°ぐらいの角度で)捩じれている筈だが、あなたが腰を水平移動すれば腰は左へ逆回転を始める。
ここでの秘策は、腰が回転を始める前に腰を左へ水平に向かわせてしまおうということである。
腰を意識的に回転させようとしてはいけない。@@
腰の水平移動をすべき第三の理由は、これが肩がまわる際に僅かに肩を揺らすことによって、クラブのボールへの引き下ろしを開始させる動作であるということだ。
この腰の動きは(他の何物でもなく)ダウンスウィングの起動力を生み出すのだ。
b) 『頭はスウィングの錨だ』という表現は、ダウンスウィング開始のこの段階で、きわめて重大な意味を持つ。
腰を水平移動させる時、われわれが頭を後方に留めれば、上体が腰とともにターゲット方向に移動するのを防止出来る。
われわれはバックスウィングで苦しい思いをしながら身体を捻ったわけだから、その緊張を早期にほどいて楽にしてはいけないのだ。@
トップで作り出した身体の捻転による緊張は、スウィングがボールに到達するまで可能な限り長く保持しなければならない。
それが、スウィングとクラブの動く速度にパワーを与える主な要素の一つなのだから。もし、頭がターゲット方向に動くと、われわれは身体の緊張を失ってしまう。頭を後方に保持すれば『ボールの後ろに留まれ』という定説も実行出来ることになる。@
古い通説では『何が何でも頭を静止させよ』とされたものだが、現代のゴルファーの頭は後方に留まるだけでなく、実際には少し下降し、数センチ後方に動きさえする。
その理由の一つは、身体がターゲット方向に弓なりに反るためであり、もう一つの理由は、上級者の柔軟な膝はヒッティング・エリアでさらに僅かに曲がるせいだ。
c) トップからの最初の動きに際し、《クラブを動かそうという努力は一切しない》ことも重要なポイント。
もちろん、クラブは動くのだが、それは肩の動きに引き摺られて否応なく動かされるのであって、手首、手、腕などがクラブを動かそうと努力すべきではないのだ。
もしわれわれが、ダウンスウィングの開始にあたって、腕、手、手首を一瞬でも一本の材木に変貌させられれば完璧である。
そうなれば、その材木とクラブは堅固な一つの単位となって凍結され、揺れて回転する肩に刺激されて、一体となって全てが下降を始める。@@
両手が腰の高さまで下りた時、電気ショックを受けたようにそれらが凍結から覚めて息を吹き返す。
こうして、われわれは完璧な動作を達成出来ることになる。
《下降のための全てのアクションは、左サイドに向かっての腰の水平の動きによって始められる》のだ。
スウィングが正しければ、手首とクラブによって形成されるコックは自動的にダウンスウィングの後半まで保たれる。上に述べた三つの魔術的動作を実行すれば、コックがほどけることはない。コックを解かぬためには《クラブを動かそうという努力は一切しない》ことだ。
基本は腰の動きである。左腰がダウンスウィングをリードする。
その左腰はトップから左に水平に突き出され、最後に自動的な腰の回転へと続く。
しかも、実際にはそれ以上のことが起る。
腰は左サイドに向かい、そしてターンするだけではないのだ。腰の動きは左腕と密接に連結されているので、腰が腕とクラブを引き下ろしてボールを鞭打つことになる。
これはいいゴルファーが達成する唯一の最も重要な動作である。@@
これを『左腕を引き下ろすことでダウンスウィングを始めよ』という説と混同してはならない。
左腕は腰によって引き下ろされるというのが真実だ。
腕は腰とクラブの間を繋ぐ単なる棒に過ぎない。
もしゴルフ・スウィングにたった一つの秘訣があるとすれば、これである。
これは唯一の偉大なパワーの源でもある上肢と上体の大きな筋肉が、手が何かする以前にクラブに助走を与えるのだから。
この方法で腰を動かすことは、しごく単純に思えることだろう。
云うは易く、理解するのも容易い。
だが、ほぼ全てのゴルファーの大軍団が、これを実行出来ないでいる。
数百万の人々が、こういうインストラクションを読み、聞き、写真を見ているが、その数百万の人々は彼らのダウンスウィングを手で始めたり、腕で引っ張ったり、腰を動かし始めるのはいいが、最後まで動かすのを忘れて、腰の動きを止めてしまったりする。
彼らが失敗するのは二つの理由からである。
a) これは大きな動きなので、実行するのを躊躇ってしまう。
b) クラブヘッドをコントロールすることに没頭するあまり、腰の基本的アクションを忘れ、腰を殺してしまう…という二点からだ」
まだ納得出来ないのであれば、打ちっ放し練習場に行き、a) 腰を回転させるダウンスウィング開始と、b) 上に述べられているように腰を左に水平移動するダウンスウィング開始…の両方を較べてみるべきです。
飛距離ばかりでなく、これまでのスウィングと正確さがまるで違うのにも気づかれることでしょう。
私が時折書く「トップでクラブを置き去りにする」という表現は、上の《クラブを動かそうという努力は一切しない》というセオリーに基づくものです。
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